交通事故 ― 2005年07月22日
うちのすぐ近くを流れる川の河原は結構大きく、葦やススキが生い茂っている。所によっては大木もあり、ちょっと下流へ行くと堤防から川岸まで数百メートル有り、野球場なんかもある。葦はこの時期グングンと伸び、夏の終わりには3メートルを越す高さに成長する。その様は緑の絨毯、いや緑の海原という感じで、風の強い日など数百メートルにわたる緑が波打ち、まさに海面のように見える。
駅から橋を渡って左に折れ、堤防(と言っても幅5mほどの立派な舗装道路)沿いに歩いていくと、右手に小学校が見えてくる。家へ帰るには、堤防に沿った坂を下りていく。その坂と小学校の間のほんの4〜5mの間、いや、広いところでは6〜7mあるだろうか、そこにはうっそうと樹木が生い茂った、小さな小さな雑木林がある。年に2度ほど伸びた枝葉を刈り取ってもらうが、夏場は、我先に太陽を受けようと、グングン枝を伸ばし、葉を生い茂らせる。
帰り道、堤防を歩いていると、5〜6mほど先を何かが道路を横切った。それも2匹。猫?いや、その茶色い小動物は、やけに細長く、ひょいひょいと走る様は、まるでしなやかに走る尺取り虫。でも、すぐにわかった。イタチだ。イタチの親子だ。小学校横の小さな小さな雑木林からイタチの親子がするするっと道路を渡って、河原へ走っていったのだ。あまりの暑さに水浴びにでも行くのか、それとも食事?
スルスルッと道路を渡ったイタチ親子だが、河原へ下りるには80cmくらいの高さのコンクリートの塀を乗り越えなければならない。親イタチは、難なくスルスルッと登ったが、子供のイタチが上手く登れない。30cmほどの細い体を精一杯伸ばして再度トライ。親イタチも子供が登れないのに気づいて、塀の上からこれまた40cmほどの細いからだと短い手を伸ばして、さあおいでと言うように子供を励ましていた。
しかし、2,3回トライして、子供イタチはもうダメってな風に登るのをやめてしまった。親イタチも降りてきて、子供を励ますが、子供は突然元来た方へ走り出した。この道路、道幅はそれほど広くないが、かなりの交通量で、しかもどの車も結構なスピードで走ってくる。その時、前方から車はなかったが、原チャが2台向かってきた。危ないんちゃう、そう思う間もなく最初の一台が来た。原チャはちょっとブレーキをかけ、右へ。子イタチはちょっと立ち止まってかろうじて避けた。そして再び進もうと動き出した瞬間、二代目の原チャの前輪にひかれてしまった。ほんと、アッという間の出来事だったし、ほんとにアッと言ってた。二台目の原チャは、一応避けようとちょっとブレーキかけて、進路も変えたのだが、避けきれず、そのままひき逃げ。一瞬呼吸が止まり、血の気が失せた。
ひかれた子供イタチは、体半分に折り曲げて、ピクリとも動かず道路の真ん中に横たわっている。季節はずれの首巻きの落とし物みたい。親イタチはあきらめたのか、もういない。近寄って様子を見る。後ろを歩いていたおばさんも、どうしましょうと見に来た。頭が当たったのが見えたので、つぶれてたら嫌だなと思ったが、よく見ると、特に血も出ていない。このまま放っておいたら後続車がどんどん轢いていくのは目に見えているので、とりあえず背中をつまんで道ばたの草むらまで運んだ。おばさんも「かわいそうにね、死んじゃったのかしら。このまま放っておいてもあれだし・・・」確かに、道ばたに放っておいても、よく通る道なので、毎日朽ち果てていく姿を見るのも忍びない。墓でも作るか?などと考えていると、ちょっと手が動いた。そして、ぼんやりと頭を持ち上げた。「あっ、生きてるわ」、そして急に目覚めたかのように、子イタチは、はっと我に返り、さっと身構え、あたりをキョロキョロ見回すと、脱兎(イタチだが)のごとく草むらの坂を下りていった。「よかった、脳しんとう起こしてただけだったのね。」とおばさん、「そうですね、よかった。」とこちらもホッとした。
その後、子イタチが親と会えたのか、後遺症が出なかったのかはわからない。しかし、最近ちょこまか走り回るようになった我が子に置き換えると、本当にゾッとする。狭い道でも、猛スピードで走る車が多い中、しっかり見守ってやらないと、と思った日だった。
コメント
_ ロジャバリン ― 2005年08月28日 22時28分46秒
_ 忍者 ― 2005年08月29日 02時15分53秒
赤ん坊を見ていると、そう思いますよね。
>地球上の物を破壊しては自分の物にしている・・なんか、勘違いしてるよな〜
そうですよね。物言えない動物たちは、追いやられてしまうんですよね。実は、この雑木林、そんな後日談があるんです。それはまた後ほどアップします。
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・・・・って、このコメント、重いですよね!ははは・・