アイ・ワナ・ノウ...52010年07月26日

シングルのジャケットも1から始まってます

デビューから立て続けに数百万枚の売り上げを誇るアルバムを出し続けてきたフォリナーですが、この4枚目のアルバムで大きな転換を迎えました。オリジナル・メンバーであり、ある意味このバンドの目玉だったイアン・マクドナルドと、キーボードのアル・グリーンウッドが脱退したのです。

デビュー当初から注目されていたイアン・マクドナルドですが、曲作りという点では、それほど貢献していませんでした。それよりも、共同プロデュースやフルート、サックスの演奏が彼の持ち味でした。しかしその武器も、前作では聴く事が出来ません。ミックの話によると、イアンはフルートやサックスなどより、ギターをプレイしたがった。結局彼の一番の持ち味を出さなくなった。アル・グリーンウッドについても、同様の理由で辞めてもらったと語っています。

Wikipediaのダリル・ホールの話によると、スタジオにはイアン・マクドナルドとアル・グリーンウッドの二人が来て、彼らが帰ってから他のメンバーが来て作業していたけど、そのうち二人とも来なくなったそうな。別々に作業してでも、作品を作りたかったのか、それとも追い出したかったのかは定かではありませんが、このアルバム制作を始めた当初から関係がよくなかった事は、この話でもわかります。そして二人とも脱退となりました。脱退に関して似た話、どこかで聞いたことがある・・・。思い出した。チューリップの財津和夫がアマチュア時代に使った手だ(爆)当時財津は、よそに上手い人がいると、強引に引き抜いて、ダメだと思うと、嘘の練習場所を教えて辞めさせていったと言う逸話がありました(笑)

  • 「4」
  • A面
  • 1. ナイト・ライフ (Night Life)
  • 2. ジュークボックス・ヒーロー (Jukebox Hero)
  • 3. ブレイク・イット・アップ (Break It Up)
  • 4. ガール・ライク・ユー (Waiting For A Girl Like You)
  • 5. ルアンヌ (Luanne)

  • B面
  • 1. アージェント (Urgent)
  • 2. アイム・ゴナ・ウィン (I'm Gonna Win)
  • 3. ウーマン・イン・ブラック (Woman In Black)
  • 4. ガール・オン・ザ・ムーン (Girl On The Moon)
  • 5. ドント・レット・ゴー (Don't Let Go)

メンバーが4人になって4枚目だから「4」。一番有名なメンバーの脱退と言う、ネガティブなイメージが先に立ったこのアルバムですが、全米で700万枚(全世界で現在まで1500万枚以上)そして10週連続1位と、彼らの最大のヒット作となりました。

シングル・カットは「アージェント」が全米4位。そして、オリビア・ニュートン・ジョンの「フィジカル」とホール&オーツの「アイ・キャン・ゴー・フォー・ザット」に1位の座を阻まれ、10週連続2位を記録した悲劇のシングル「ガール・ライク・ユー」。その後も「ジュークボックス・ヒーロー」「ブレイク・イット・アップ」が共に全米26位。ここまでシングル出したら、全部行っちゃえ!って感じで出した「ルアンヌ」が全米75位でした。

おしくもNo.1を取れなかった「ガール・ライク・ユー」の製作にはこんな事があったそうです。ある日ミックが弾いていたピアノのメロディーが、どこかオリエンタルな雰囲気で、とても印象に残ったルーは、こっそりそれを録音しておきました。そして、「ガール・ライク・ユー」のサビで行き詰まったミックに、そのテープを聴かせて曲が出来上がったそうです。

私が好きなのは、ちょっと今までとは毛色の変わった「ブレイク・イット・アップ」。この曲は、化粧品「インウイ」のCMに使われ、テレビで流れる度に喜んでいました(笑)

4人になったからという訳ではないでしょうが、サウンドはギター主体に、結構シンプルに聴こえます。シンプルに聴こえますが、結構ギターも重ねてあり、特に「アージェント」などは、3〜4つの単音リフのアンサンブル。ディレイも絡んだシーケンシャルなフレーズに絡むサックスが、機械的雰囲気を絶妙な感じで和らげていますね。

結構硬派な印象のアルバムですが、「ガール・ライク・ユー」の驚異的なヒットが、その後のバンドの方向を決定づける事になったのでした。