アイ・ワナ・ノウ...7 ― 2010年07月30日

前作「4」から3年半。その間に、ロサンゼルス・オリンピックの公式アルバムで、マラソンのテーマ「ストリート・サンダー」で参加したりしましたが、やはりリリースに間が空いた最大の理由は、プロデューサーの交代があったからでしょう。当初のプロデューサーは、イエスの「ロンリー・ハート」を手がけたトレヴァー・ホーンでした。ところが、ミックス・ダウンまで済んでいたテープをボツにして、新たにアレックス・サドキンを迎えてやり直したのでした。
- 「プロヴォカトゥール(煽動)」(Agent Provocateur)
- A面
- 1. トゥース・アンド・ネイル (Tooth And Nail)
- 2. イエスタデイ (That Was Yesterday)
- 3. アイ・ワナ・ノウ (I Want To Know What Love Is)
- 4. グローイング・アップ (Growing Up The Hard Way)
- 5. リアクション・トゥ・アクション(Reaction To Action)
- B面
- 1. ストレンジャー・イン・マイ・オウン・ハウス (Stranger In My Own House)
- 2. ラヴ・イン・ヴェイン(A Love In Vain)
- 3. ダウン・オン・ラヴ (Down On Love)
- 4. トゥー・ディファレント・ワールド (Two Different World)
- 5. シーズ・トゥー・タフ(She's Too Tough)
1984年リリースのこの作品は、全米4位。300万枚の売り上げでした。シングルは、「アイ・ワナ・ノウ(I Want To Know What Love Is)」で、念願の全米1位を獲得。続く「イエスタデイ(That Was Yesterday)」は全米12位。「リアクション・トゥ・アクション」「ダウン・オン・ラヴ」は、共に全米54位にとどまりました。
前作でのシンプルさからガラッと変わった、飾り立てられた音と言うのが、このアルバムの印象です。関わった二人のプロデューサーが手がけたのが、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドやデュラン・デュランと言うことから見ても、当時の音を取り入れたかったことはわかりますが、今までの路線とは、良くも悪くも変わってしまったことは否めません。ミック・ジョーンズも「新しいおもちゃを手に入れた子供みたいだった。ちょっとのめり込み過ぎてたね。」「最先端にこだわるあまり、ある意味行き過ぎてしまった。」と語っています。もっとロックの本流を行く音にしたかったルー・グラムとミック・ジョーンズの意見が合わなくなってきたのもこのアルバムからでした。しかし、リリースされたこの作品を聴くと、トレヴァー・ホーンのプロデュースは、一体どんだけやってたんだ?って興味もあります(笑)たぶん、今までとは全く違ったものだったんでしょうね。あちこちでオーケストラ・ヒットが鳴ってるとか(笑)
一般には、「ガール・ライク・ユー」のヒット以降、バラードが増えたと言われますが、収録曲を見ても、特にそうは思えません。彼らも、ソフト路線にチェンジしたと思われることは避けたかったようです。ただ、「トゥース・アンド・ネイル」や「リアクション・トゥ・アクション」など、ハードないい曲もあったのですが、シングル・カットされたのがバラード中心だったのは残念ですし、方向転換したと取られても仕方ありませんでしたね。これらのバラードに走ったから、人気が落ちたのだという意見もありますが、三ヶ月近く2位を記録したり、No.1になるような曲が原因で人気が落ちたとは考えにくいのです。本当は、ロックなナンバーが減った、シングルカットされなかったから、人気にかげりが出てきたのだと思います。
彼ら唯一の全米No.1ソング「アイ・ワナ・ノウ」でしたが、私は嫌いでした。ついでに言うと、「ガール・ライク・ユー」も、ジャーニーの「オープン・アームズ」も嫌いでした(爆)しかし、これらのバラードが、広い支持を受けていたのも確かで、ロック以外のアーティストがカバーしたのも、それが理由でしょう。「アイ・ワナ・ノウ」をWinkが「三日月の夜の小鳥たち」と言う題名で、日本語でカバーしていたのは、一部では有名な話です。それと、「アイ・ワナ・ノウ」のコーラスには、トンプソン・ツインズのトム・ベイリーが参加しているそうですが、どこに入っているんだろう(笑)
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