四半世紀前の旅立ち、ホーム・ステイ先で ― 2012年06月18日
飛行機と列車を乗り継ぎ、二日かけてやっとたどり着いたスペインのホーム・ステイ先。「遠くからよく来たわね!さあどうぞ!」と歓迎されると思いきや、「そんな話は聞いてない、お前の部屋は無い」なんて仕打ちを受けるとは!半年ほど前から準備し、大学の外国人語学コースにも事前に予約。学校から送ってきた地図とホーム・ステイ先の住所をたよりにやって来たら、そんなの知らないと言われ、私は一体、どうしたらいいんだ!
ちょっと待ってくれと、大学から送られて来た手紙を見せると、確かに私の所だと言ってる様だ。だが、何の連絡も無かったし、部屋も無いと言う。とりあえずホーム・ステイ予定だった家のリビングのソファに座り、おばさんが喋りまくるのを聞くが、目の前真っ暗、頭は真っ白。しばらくすると、14、5歳くらいの女の子が起きて来た。続いて10歳くらいの男の子も出て来た。到着してから、ずっとまくしたててたおばさんだったが、学校からの手紙を見てちょっと納得したようで、しきりに何か聞いてくる。「完全なペンションがいいのか?」と言ってる様だ。何のことだ?辞書を引くがpension completa=完全な宿・・・だよな・・・。色々説明してくれるのを聞いて、やっとわかった。食事は三食付きがいいのかと言ってる様だ。「それがいい」と言うと、おばさん「わかった」と言って、玄関入ってすぐの6畳ほどの男の子の部屋を片付け、一言「この部屋を使いなさい」
えっ?さっきまで、連絡無かっただの部屋は無いだの言ってたから、放り出されると思っていたのに、いきなり部屋を用意してくれるとは、それも子供の部屋を。あまりの急展開に呆然としながらも、これから生活するベースが決まり、本当にホッとすることができた。
部屋にはベッドとライティング・テーブルと小さな引き出しがあった。ライティング・テーブルのテーブル部分は私が使い、上の棚部分は、子供達の人形を飾る場所。引き出し類は、半分は私、半分は男の子用と分けられた。荷物を整理したら、昼食の時間になった。ちゃんと私の分まで用意してくれている。実は、フランスでフランの両替をギリギリにしておいたので、フランスの列車の中ではコーラしか買えず、スペイン国境でTCを両替したが、今度は売店も無く売り子も来なかったので、前日の昼以来のまともな食事となった。おばさんの名前はドミ。娘はクリスティーナ、息子はオスカル。私の他に、フランス人の女の子が二人ステイしていた。
食事の後、早速外を散策してみようと、学校から送って来た地図を出して「ここの家は、この地図ではどこになる?」と訊いた。おばさんがピンク色のB4ほどの大きさの地図を見て「う〜ん、この辺」と指差したのは、地図の右上の端から更に20cmほど離れたテーブルの上だった!(爆)日本にいる時、いくら探しても見つからなかったのだが、地図に載ってない家だったとは!いい加減さに、少しめまいがした(笑)とりあえず通う予定の大学へ行ってみることにした。外にいるのはスペイン人ばかりだ(笑)サラマンカには、スペイン最古の大学があり、またスペイン語の標準語を話す地域なので、語学留学する日本人も多いと聞いてたんだけどな。
大学は中心街にある。近づくにつれ、古く、装飾も立派な建物が多くなって来た。外国人だらけの中、ああ来たんだと実感。15分ほど歩くと、プラサ・マジョールと言う建物に四角く囲まれた大きな広場に出た。一辺100mくらいあるだろうか。周りは4階建てくらいの建物で正方形に囲まれ、回廊になっている。私が入ってきた方角が正面のようで、その辺の真ん中の建物がひときわ大きい。広場の周りにはバル(居酒屋)がたくさんあり、広場には椅子とテーブルがあちこちに並んでいる。その広場に入った瞬間、わっと耳に入って来たのが、話し声、話し声、話し声が身体を包み込む。四方八方、上からも聞こえるサラウンド!まるで、プラザ・マジョールという升に、溢れんばかりの声を入れた!そんな感じだった。
サラマンカ大学は、スペイン最古の大学だが、私の行くのは、別の所でサラマンカ・ポンティフィシア大学。サラマンカ大学とも近く、プラサ・マジョールからもすぐだった。しかしでかい!昔の建物なんだろう。入り口には20mはあるだろう二本の塔がある。日曜日なので、事務所は閉まっていたが、今日は場所がわかればいい。明日は、今日のこと、絶対に文句言ってやる!
帰って夕食を食べると、すぐ寝てしまった。色々あった長旅で、やはり疲れていたんだろう。だが、スペインでの生活は、始まったばかりだった。
コメント
_ tom nyajya ― 2012年06月18日 09時15分26秒
_ 那由他 ― 2012年06月18日 10時10分02秒
どんな写真なのか、気になるなぁ。
ホームスティ先は、他にも学生さんをステイさせているお宅なのですね。学生さんを受け入れるのに慣れておられるとはいえ、想定外(ホームスティ先にとっては)の学生さん到来に、息子さんの部屋をちゃっちゃと開けて、貸してくれるなんて…。息子さんしてみると、「僕の部屋・・・(TT)」と言う気もしますが、その辺り、ホームスティをよく受け入れておられる家庭なので、よくあることなのかもしれませんね。
とにかく、落ち着ける「我が家」が決まってよかった、よかった。
スペイン語のシャワーを浴びて、忍者さんの脳もスペイン語脳に変化していく…これからの続きが楽しみです。
_ 忍者 ― 2012年06月18日 16時42分47秒
初めての、それもよその家に居候ですが、ベースができたと言うことは、やっぱり安心でした。
那由他さん
写真、チェックしてみます。
>ホームスティをよく受け入れておられる家庭なので、よくあることなのかもしれませんね。
ここは、ホストファミリーで生計を立てている家なので、常時3〜4人の学生がいました。連絡の行き違いは、スペインなのでよくあったんじゃないかと思います(笑)後で考えると、スペイン人のルーズな対応からすると、即対処してくれる家庭に当たったのはラッキーでした。
_ にゅーめん ― 2012年06月19日 20時51分57秒
私の感覚からすると見知らぬ人を自分の家に住まわせるのって、すごく抵抗がありますが、慣れているとそうでもないのかもしれませんね。
外国での生活は文化が違うので、普通の日常生活をするだけで波瀾万丈な様子が目に浮かびます。
_ 忍者 ― 2012年06月19日 23時42分58秒
>見知らぬ人を自分の家に住まわせるのって、すごく抵抗がありますが
ホームステイで世話になりましたが、私もそうですね(笑)パンツ姿でゴロゴロできないし(爆)この家は、それで生計を立てていたので、慣れていたんでしょうね。常時3、4人の学生がいましたから。
>普通の日常生活をするだけで波瀾万丈な様子が目に浮かびます。
最初は見るもの全てが珍しかったのですが、慣れちゃうんですね〜。ただ、最初の一、二ヶ月は学校の予習に追われる日々でした。勉強していたのではなく、それまで勉強しなかった付けが回って来たって感じです(笑)
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宿と食事。 これが確保出来れば まず安心ですね。