リサイクル2006年10月11日

木造じゃこうは行かない

ヨーロッパの建物は、大体が石造りだ。巨大な大聖堂や宮殿、堅牢な城を見ると、とにかく圧倒されてしまう。日本にも立派な城や塔があるが、層で作られたそれとは違い、中身もがらんどうで「箱」って言う感じだ。南ヨーロッパ以外は地震の心配が無いので、構造上建物内部の空間が広くとれるのだろう、とにかく大きい印象がある。そして町に建つ家々もまた、古い物が多い。

私がいた、スペイン・サラマンカはこじんまりとした町で、特にマジョール広場を中心とした旧市街の美しさはすばらしく、世界遺産に登録されている。私のいた翌年、1988年に登録されたところを見ると、選考にかなりの影響を与えたのではないかと、自らの功績にちょっと満足したりしている??

そんな古い町並みを保存するのは、かなり大変だろうと思われる。実際、マジョール広場の建物にあるペンションなどは、結構ひどいところも多い。そんな中、学校のすぐ近くの家を解体していた。外壁には、一つ一つに石に番号がふってあり、その向こうは、既に取り壊されている。新たに建てるときに、パズルのように番号順に組み立てて行くんだろう。そうすれば、中身は新しいけど、町並みは保存できる。こういう時、石の建物って便利だ。なるほど、こう言う手もあるんだな。中身まで保存の必要がない建物は、こうして景観を保っているようである。

京都でも町家を再生し、残そうという動きもあるが、財政的、そして素材が木という耐久的な問題、また、同じ物を建て直そうにも、建ぺい率や容積率といった法的な問題などで、なかなか難しいようだ。だからでこぼこと、新旧入り乱れた家が建ち並ぶ。寺や神社のように何百年も経っている物もあるが、それは定期的に補強、修理などのメンテナンスを施してあるからで、一般家庭では難しい物がある。町家は住んでみたいけど、それらのことを考えると、とても手が出ない。他人事だから、次々壊すな!って言いたいけど、仕方ない事情もあるから、あまり勝手なこと言うのはやめよう。まあ、観光都市なら、最悪倉敷のような場所を作ることくらい、京都市は考えた方がいいかもしれない。